またぎの里・阿仁の風景

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昔むかし、阿仁の広そまの裾野の小高い処に長福院という立派なお寺がありました。
 この寺には、弘法様とご利益あらたかな観音様がお祀りしてありました。建物も境内地も格式高いお寺として、近郷近在からもわざわざお参りする人々が後を絶たないほどで、銅山村の寺として、それはそれは栄えたのでした。
 ところが何代目かの和尚さんが亡くなってからは、住職が定まらないまま、だんだんと荒れて、日が経ち月が進むにつれて、ものすごい破れ寺となり、たまに訪れる旅人が一夜の宿を過ごそうと泊まった人で、翌朝ふもとの茶屋に元気な姿を見せた人は1人もなかったということです。そのため、誰言うとなく、「山寺には夜な夜な人食い鬼が出て、寺へ泊まった者は皆食われてしまう。寺へ行くな、行ったら殺されるぞ」と、ほとんど近寄る人もなくなって、魔物の寺と呼ばれるようになりました。
 ある春先のこと、1人の托鉢修行僧がふもとの茶屋へ休みました。茶屋の婆さまと四方山話をしているその中で、婆さまは「ずうと前だバ栄えだ寺だバッテ、今だバ化け物寺だデア、狐もいがねャし、おっかねァ寺だス。」「うん、なかなかの魔物、よし、拙僧が一晩厄介になって、とっくとその化け物と話してみよう。」茶店の婆さまはあわてて、「和尚さん、まだまだ若い年で好き好んでなにも食われに行ぐごどねァがら、やめだほじエー。」婆さまがいかになだめすかしても、聞かばこそ、「婆さま、ご親切は拙僧身にしみて嬉しいが、そのような話を聞いたからには是非もし、拙僧に退治せよとの仏命に外ならず。」と、いよいよ山寺の魔物退治の準備に取り掛かったから大変、婆さまは、まさかこんな事になるとは夢にも思わず、いつもの癖の軽口をば、お歯黒だらけの大口開いて、面白おかしくべらべらまくしたてたが、とんだ事よ、とばかりに、あんたらいい男を死なせてなるものかと、しっぱしょりして村の衆を呼び集めに駆け出しました。
 一方件の旅僧、心中深く期する所があるらしく、村の魚屋に日の暮れる前に鰊二かますを寺の庫裡まで届けるように、そして酒屋には一斗樽で二樽届けるように、それぞれ注文し、まずは槻(つきの木)の葉っパを両袖に、手ごろの護摩木(ごまき)を背負い、衣の袖をたくし上げ、「それでは婆さま、村の衆よ、明朝夜明けとともに鐘が鳴ったら、みんな寺へ集まれ」と、止めるのも聞かず山寺指して登って行きました。婆さま始め、居合わせた村の衆は驚いたのなんのって、話も出来ない位の驚きでしたが、「まんずまんず、あんつくたら生臭坊主だバ見だごどねァ」「したたって、さがな(魚)二かますサ、酒樽二本、あれだばたった忽ちのうちに化け物さかって食われでしまうべシャ。」(何退治や、片腹痛でァ)・・・・・・がやがや・・・・・・ワイワイ・・・・・・。
 一方こちら旅の僧は、参道を登って本堂の前に仁王立ち、「うん、聞きしにまさる破れ寺、果てさて勿体無きこと。」と、がたぴしきしむ戸を開いて、やがて本尊前に座ろうとする。一瞬、何やら異様なにおいがプーンと鼻を突く。「うーん、やっぱり拙僧の思惑通り。」と思い、両のたもとから魔除けの槻の葉を取り出すや円座の囲にバラバラと投げ散らし、背から下した護摩を組んで、さて、音吐朗々(おんどろうろう)「おんあばきゃーまかばだら・・・・・」とありがたい真言だらにを唱え、「感遇悪羅刹毒龍諸鬼等会波観音力(ワクグウアクラーセツドククリュウショキトネンピカンノンリキ)・・・・・」とやらかした。そうこうしているうちに、軒下も三寸下がると云われる真夜中の丑三時、ゴーっという広そま嵐と共に何やら生臭いにおいがしたかと思うと、たった忽ちのうちに本堂一杯の化け物のお出まし、総領らしき一匹、障子も破れんばかりの大声で、「あいや御坊、お前の廻りにまいたその葉っパをどけれー。」「と申す貴様は何者だ?」「俺のことはどうでもエー、何やらさきから変てこな唱え事と、御坊の前の焚火で、俺たちの体がだんだん力が抜け、眼がかすんで、動きがとれなくなってきた。」「いや貴様たちの今日までの悪行の数々、観音様のお力で、今こそ善行に立ち変えらせて見せるわ。」「やめでけれ、やめでけれ、俺たちはあの広そまに住む山猫の一族、俺様の術にかなう奴は1人も居なかったのに・・・・つい、二かますの鰊と、二樽の酒に騙され不覚を取ったるこの上は、二度とふたたび御坊には会うまい、いや、阿仁の山から姿を消そう。」と、言うが早いか、一団を引き連れて疾風のように逃げ去りました。
 さあ、これでよし、と持参の酒どっくりをラッパ飲み、空どっくりを枕に、天井も破れんばかりの高いびき、それから何時か経って、やがて目覚めた旅の僧、やおた立ち上がって口をすすぎ、顔を洗って、ご本尊様にご加護をいただいたお礼の読経、さあこれでよしと旅装束を整えるや、力一杯鐘をつく。
 ゴーン、ゴーン、ゴーンと阿仁の広そまを始め六ヶ山の峰峰を響き渡り、それはそれは清い音。これはその鐘の音を聞いた人は誰でも自然と仏心が生ずるという不思議な鐘の音として、いつまでもいつまでも語り継がれてきたその鐘の音。
 さあ鐘が鳴ったというので、茶屋の婆さま始め村の衆が続々とお寺に集まってきました。「おーい皆の衆、あのノノさん(和尚様)はどごだべー。まるでキレーなってらナー。ノノさんいないって不思議だなァ。」
 糞坊主、生臭坊主と散々陰口をついた村の衆も化け物退治をしてくれたありがたい和尚さん、一言もいわずに旅立った和尚さんに始めて気がついた村の人たちは、みんな手を合わせて水無の方向に何べんも何べんも頭を下げていました。
 旅の僧は何処の誰かも全然分からないまま。どっとはらい。

  お話 : 銀山 宮原忠美氏

北秋田市観光協会【阿仁】の2008年のブログより
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# by animatagi | 2018-11-03 22:55 | 阿仁の語り継がれた物語 | Comments(1)
阿仁荒瀬村の行商人の「薬入れ袋」の版木、ついに子孫に版木を手渡す日が来た。
そして子孫から市へ寄贈。多くの観光客が訪れる場所にぜひ、展示して欲しいものだ。
「マタギ資料館」常設は賛成だ!マタギの湯でもいい・・・。
*このブログも当初からこの記事をアップしていた。少し役立ったようだ。
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阿仁の嬉しい情報満載の北鹿新聞より
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版木を反転してPC加工(着彩)して分かりやすくしています!





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# by animatagi | 2018-10-23 23:19 | 阿仁の歴史 | Comments(0)
山に限らず、観光地の「トイレ」はとても大事だと思う。
環境にも優しい「ろ過と蒸散処理」!
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観光地の情報も満載の北鹿新聞より


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# by animatagi | 2018-10-20 23:28 | 阿仁の輝きと活性化 | Comments(0)
今年も、盛りだくさんのイベント内容!👍行くしかねべ〜💕
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*このところ「またぎの里・阿仁の風景」ブログへのアクセス数と訪問者が半端ない!❣️


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# by animatagi | 2018-10-18 09:21 | 阿仁のイベント | Comments(0)
小学生が元気なうちは、阿仁も大丈夫だ!「元気いっぱいだ💕」👦👧
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阿仁の子供たちを愛する北鹿新聞より




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# by animatagi | 2018-10-15 21:50 | 阿仁の話題 | Comments(0)

成田為三作曲の浜辺の歌など美しいハーモニーも!♫♪

語りかけるように歌うシャンソンはとても魅力的でした。

感動のコンサート!明日はいよいよ阿仁でファイナル・コンサートです。

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画像提供:大館三浦さん




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# by animatagi | 2018-10-13 23:50 | 阿仁のイベント | Comments(0)

四谷大塚進学教室の「全国統一小学生テスト」TVCM30秒動画に「秋田内陸線比立内駅」のホームでの小学生の演技が映っています!

秋田はいつも成績が良い!「比立内は教育の聖地だ💑」

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# by animatagi | 2018-10-09 16:59 | 阿仁の話題 | Comments(0)

マタギの里「阿仁」の風景を紹介するブログです。*阿仁の皆様からご協力いただいています!


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